こんにちは!自動車ディーラーでサービスに携わり続けて30年、たけぞうです。
今回は、もしも交通事故が発生してしまったら・・についての記事になります。クルマを運転している以上、交通事故が発生してしまう可能性はいつでも誰でもあります。もちろん事故を発生させない為に交通ルールの順守やクルマのメンテナンスを実施していると思うのですが、それでも万が一に備えておく事は必要です。
ある日突然、準備もない状態で発生してしまうのが交通事故です。そんな時に慌てず落ち着いて行動する為に事故対応の手順や気を付けるべきポイントを把握しておく事が大切です。
ここでは、交通事故発生時の対応方法について解説します。ご自身と大切な人達を守る為に必要な知識かと思いますので、参考にして頂ければ幸いでございます。
交通事故が発生した時の対応手順は?
まずはご自身が落ち着く事。予期せぬ事故で動揺しない人はいません。そしてけが人の救護と事故の続発を防ぐ行動をとりましょう。
けが人を救護する
何よりも優先すべきはけが人の救護です。同乗者や相手方に声をかけて意識があるかなどを確認してけが人がいないか確認しましょう。けが人が出てしまった場合は、落ち着いて救急車を手配します。そして安全な場所へ被害者を運んで応急処置を施しましょう。緊急性が高そうなときは、周りに助けてくれる人がいるか確認して、助けてもらいましょう。
クルマを安全な場所へ移動させる
次はクルマを安全な場所へ移動させましょう。事故でダメージのあるクルマだと移動できない場合もありますが、二次事故を誘発させないように交通の安全を確保する事につとめましょう。後続車両は事故が発生しているとは気付いていないと考えて、事故車両を移動させる際にはハザードランプを点滅させたりして、知らせる事も必要になります。また損傷が大きく、車両移動が難しい場合は三角表示板の設置、ハザードランプ点滅をさせて後続車両に事故現場であることを知らせましょう。
事故現場を第三者に確認してもらう為、クルマの移動をさせてはいけないと考える方も多いと思いますが、そんな事はありません。二次事故を防ぐ為の行動をとりましょう。また、事故直後だと普段通りに行動できない事もあるかと思うので、クルマの運転も十分気を付けて下さい。
警察へ連絡する
どのような軽微な事故であっても、警察へは連絡をしましょう。相手方との話しの中で「警察は呼んでほしくない」と言われたり、用事があって警察を待っている時間がないなどの状況も考えられますが、それでも呼ぶべきです。
事故当事者は、道路交通法により、警察への届出が義務付けられています。道路交通法72条1項によれば、事故当事者は、事故後には、以下のこと等をしなければなりません。
- 車両等の運転を停止すること
- 負傷者を救護すること
- 道路の危険防止のための措置を取ること
- 警察への連絡
警察は事故受付をすると、実況見分のうえ、「交通事故証明書」を作成します。この事故証明書は、交通事故による損害賠償を行う際の必要書面となります。もしこの書面がないと、保険金の請求が困難となります。適切な損害賠償を実現するためにも、必ず警察に届出をしてください。
当たり前ですが虚偽の報告はしないようにしましょう。発覚した場合、ご自身の立場が危うくなりますので・・
事故の相手を確認する
事故現場の応急対応が終わったら、お互いの事を確認しあいましょう。何をどこまで確認すれば良いか?は以下を参考にしてみて下さい
- 相手方の氏名
- 相手方の連絡先
- 相手方の住所
- 相手方のクルマのナンバー及び車種・色
- 事故の日時・場所
- 届け出警察署及び連絡先
これらは個人情報にあたりますので、取り扱いには十分注意しましょう。
事故状況と目撃者がいるかを確認する
自身でも事故状況を整理して記録できる事はしておきましょう。スマートフォンなどのカメラ機能でお互いのクルマの損傷状態やその他壊してしまったものなどを写真で保存するのもいいでしょう。ポイントはどこまでが今回の損害か?を明確にする事です。クルマ同士がぶつかった箇所はもちろんですが、その反動で損傷してしまった所も今回の事故内として認められる場合があります。当然ですが事故以前から損傷していた箇所は関係ありませんので、スムーズに話し合いを進めていく為にも、お互いに確認をしておく事をお勧めします。
事故を目撃した第三者がいたか、も確認しておきましょう。これは交通事故を起こした当事者同士の言い分が異なってしまった時に、信用性の高い証言としてはたらく事があるからです。
もし事故を目撃した第三者がいた場合は目撃情報を警察に話してもらえるかどうかなど、打診しておくのもよいでしょう。
事故における対応のポイント
お互いの保険会社を確認する
まず前提として任意保険の加入は強くお勧めします。相手がいる場合の事故で怪我などを負わせてしまった場合、賠償金額が高額になる可能性があります。交通事故はお互いの人生を台無しにしてしまう事があるのでそのリスクを回避する為、任意保険には加入しましょう。
そして、事故が発生してしまったならば気持ちを切り替えて、その後の事故解決に向けて行動していきましょう。しばらくは事故対応に追われて時間が無くなったり、精神的負担も増えてしまうと思いますので、早めにお互いの保険会社を確認して、相談する事をお勧め致します。
事故現場での対応が一通り終わってからなるべく早くお互いの保険会社と連絡をとりあい、契約内容などを確認しあえれば、後日の事故対応が当事者同士だけでなく、保険会社へも出来るので話しが進みやすくなります。
お互いの連絡先は確認できているはずですが、連絡がとれなくなる可能性もゼロではございません。連絡をとりたくても話しが出来ないというのは、なかなか面倒で時間と手間ばかりがかかってしまいます。警察は物損事故であれば介入はしてこないので、保険会社からも相手方へ連絡をとってもらいましょう。
その場での示談は絶対にしない
これもよく言われている事ですが、交通事故現場で当事者同士、話し合いでの示談は絶対にしてはいけません。事故を起こした時点ではクルマの損害額やお互いの治療費が不明であるためです。場合によっては相手方から強い要求があるかも知れませんが、そんな状態で示談してしまうと、過剰な金額を支払ったり、低すぎる金額しか受け取れなかったりする可能性が高くなります。
ドライブレコーダーの画像を保存する
人の記憶は曖昧なもので、事故の翌日に言い分や主張が変わる事もございます。そのような時にドライブレコーダーの事故画像が重要な証拠となる事がありますので、ドライブレコーダーを装着しているならば、事故画像の保存をしておきましょう。
一般的なドライブレコーダーではmicroSDカードを使用していると思いますので、データ上書きを防ぐ為にもmicroSDカードを抜いて保管しておく事をお勧めします。microSDカードを抜くときはエンジンを止めた状態やmicroSDカードへアクセスしていないなどの注意点がありますので、詳しくは取り扱い説明書で確認する事をお勧めします。
当事者同士の運転状況や目撃者の証言、ドライブレコーダーなどの証拠をもとに過失割合が決まってきます。以下では過失割合について解説します。
過失割合とは?誰が算出する?
過失割合とは、相手がいる事故が発生した時、その事故における自分と相手の過失(責任)を割合にしてあらわしたものになります。「80:20」「相手8割:当方2割」「100:0」などとあらわされます。
過失割合の算出は、事故の当事者同士もしくは加入している自動車保険会社の担当者になります。当事者同士の示談交渉では言い分や気持ちの面で折り合いがつく所になりますが、当事者同士で客観的かつ過去判例などを用いて過失割合を決定する、という事は非常に難しいと思います。お互いの時間と負担を考えると、保険会社へ交渉を任せてしまうのがよいと思います。
過失割合を決定していく過程で事故の損害額の算出も必要になってきます。当事者同士の状況説明で食い違いがなければ、クルマの修理費用や被害者の治療費などを損害額として金額で算出していきます。基本的には詳細な損害額が出揃って事故の過失割合が決定されます。
過失割合が決定されると、ある程度の自己負担金額がわかってきます。まだ保険を使用するかどうか、決めかねている方は自己負担金額と次回契約した時の保険料金の金額を比較をしてみても良いと思います。
なお、警察が過失割合の決定に関与することはありません。
そしてクルマをどうするか?も迷われると思います。修理するのか、このタイミングで代替えするか・・次で解説していきます。
クルマは修理する?それとも・・
大切に乗っていたクルマが壊れてしまうのは、悲しいね・・・
事故にあってしまったクルマは修理して乗り続けるか?買い替えるほうがいいのか?気持ちの面でも迷われてしまうと思いますが、いずれその決断をしなければならないので、その判断するポイントを解説致します。
まずは修理見積りをとる事
クルマが自走できても、できなくてもまずは修理見積りを依頼しましょう。依頼先はディーラーや修理業者になると思いますが、きちんとこちらの話しを聞いてくれて、見積りの根拠となる損傷状況の説明ができる所を選びましょう。また事故状況によっては、保険会社が損害調査を含めて修理見積りを作成する事もあります。
このタイミングでの見積書は「概算見積書」というおおよその内容になると思いますが、損害がどこまで波及しているか、実際に修理をして乗り続ける事ができるのかなどを判断する材料になってきます。
「概算見積書」では修理内容と金額のそれぞれを確認しましょう。事故のダメージが大きすぎると徹底的に部品交換をして修理をしても、事故前の走行フィーリングまでは取り戻せない場合があります。通常の使用状況ではあまり修理する機会がなく、事故によるダメージが大きいと判断できる修理箇所としては以下があります。
- エンジンやトランスミッション(変速機)など
- エアバッグ関連ーエアバッグが展開している場合はもちろん交換
- フレームもしくはサイドフレーム、エプロンパネルの損傷
- ルーフパネルやピラーパネル
- クロスメンバーやサイドメンバーなどの足回り、サスペンション関連
この概算見積書を修理するかどうかの判断基準の一つにしましょう。あまりにも損害金額が大きいと、保険などでもカバーしきれなくなってしまいますので・・
事故車買取りの見積りもとってみる
クルマは事故した状態でも買取りしてくれる所があるのをご存知でしょうか?事故前の買取り価格より当然金額は低くなってしまいますが、仮に修理したとしても修理金額分がそのまま買取り価格に反映される訳ではないので、修理の手間をかけずに売却するという選択肢もあると思います。
クルマの使用予定年数はどれくらい?
クルマを修理するか、買い替えるかの判断として使用予定年数を考えてみましょう。同じクルマを維持・使用し続ける事はなかなか大変なので、何かしらの理由やタイミングで買い替えを検討しなければいけない時期がやってきます。考える項目としては以下がございます。
- 年式が古くなってきた、車検が近い、走行距離が伸びてきたなど。
- クルマの使い方が変わってきた。仕事でクルマを使うようになったり、家族構成が変わりそうだったり。クルマの使い方をあらためて考えてみてもよいのでは。
- ローン残債年数と現在の資産状況を考慮する。修理もしくは買い替えをするにしても、残債があるのと無いのでは状況としてはかなり変わってくると思います。ご自身のご予算と照らし合わせてみて下さい。
上記の項目を検討材料にして、これからのカーライフをどう送っていくか?を決めていきましょう。
まとめ
今回は予期せぬ事故が発生した時の対応方法や事故後のクルマをどうするか、について解説してみました。
このように記事で読んでみると、当たり前と思える事ばかりですが、実際に当事者となると冷静な対応がとたんに難しくなります。また相手がいる時は嫌でも話しをしないといけませんし、自分の過失が大きいと思えたりすると気持ちの面でも不安になられるでしょう。だからこそ、自身で出来る範囲を認識しながら、保険会社や警察、クルマの整備工場などへ連絡をして早期解決に向けて手助けをしてもらいましょう。
皆様が安心・快適なカーライフを過ごして頂ける一助になれれば幸いです。今回もご一読頂き、ありがとうございました。